札座は兵庫県相生市にある旗本浅野家若狭野陣屋にあります。文政5年(1822)の藩札発行にともなって建築されました。日本唯一の札座ですが、文化財としても歴史的建造物としても評価されることなく、老朽化のために姿を消そうとしています。若狭野陣屋札座保存ネットワークは、2016年に札座の修復保存のために結成されました。
その後、保存運動は長い雌伏を余儀なくされましたが、2022年秋に行動を再開し、2024年3月、雨漏り防止の応急修理を行うためのクラウドファンディングを実施しました。クラウドファンディングは多くの皆様の支援を得て目標額を達成、雨漏り防止の応急修理を実施します。応急修理で当面の危機を凌ぎ、今後は、札座の本格的な修復保存に向けて歩みだしたいと考えています。
2022年11月、県立相生高校の生徒会が札座の掃除をしてくれました。
札座の内部。県立相生高校の生徒が掃除をしてくれたので綺麗になりました。大正から昭和にかけて庵寺として使われていた頃は、右手に仏壇がありました。
2023年2月、NPO法人ひょうごヘリテージ機構ひめじ主催のヘリテージマネージャー研修会が開かれました。文化財保存の専門家がヘリテージマネージャーに歴史的建造物の見方を教える研修会です。
研修会では、文化財・歴史的建造物の見方を学びました。並んでいる木札は、大正10年(1921)の法然上人遠忌引で寄付を集めたときのものです。屋根の葺き替えをしたと推定されます。このときの調査では、天井が二重になっており、現在の天井の上に大和天井があることがわかりました。
2024年2月、NPO法人ひょうごヘリテージ機構ひめじ主催のヘリテージマネージャー研修会が2回にわたって開かれました。文化財保存の専門家の指導のもと、20名近くのヘリテージマネージャーが札座を徹底的に調査しました。
畳を除き、床板を外して調査しました。部材はオリジナルのものがかなり残っていることや、畳敷きと板敷きの部屋があったことがわかりました。屋根や屋根裏も調査し、ないとされていた棟札を発見しました。
左が今回発見した棟札。安政3年3月の棟上式と5月の竣工式の棟札です。右は、文政5年に発行された藩札。棟札の裏に、文政の札座を安政に建替(改築)した際の経緯が書いてあります。また、今回の調査で屋根や天井が改築された痕跡が見つかりました。このことから、文政5年の藩札発行にあわせて札座が新築され、安政3年に改築されて現在の姿になったと考えられます。
若狭野陣屋札座保存ネットワークの活動の現状と今後の目標です。
Ⅰ 中期的目標 札座の修復工事を行い、登録有形文化財にします。そのために必要な資金を募ります。
Ⅱ 長期的目標 札座を旗本浅野家領若狭野(中世の東寺領矢野荘)で、日本史学びツーリズムを行う拠点にします。
Ⅲ 短期的目標
①札座を日本史オンライン講座のライブ配信会場として活用します。
2014年前半に行ったクラウドファウンディングに寄せられた支援金で雨漏り等の応急処置を行いました。写真A
相生いきいきネット・相生歴史研究会の協力を得て、清掃作業を行いました。
水道を使えるようにしました。
電気工事を行い、照明器具を取り付けました。(現在、関西電力に使用申請中です)写真B
テーブルと椅子の寄付をいただきました。写真B
床に敷く長尺シートを購入しました。写真B
写真A
左 札座東側の雨漏り及び破風の破損を応急処置しました。
中 玄関に雨漏りがありましたので、屋根の応急処置をしました。
右 札座西側の傾きが激しかったので応急処置をしました。
以上、クラファンの支援金から、9.9万円を支出しました。
写真B
左 電気配線をやり直し、照明をつけました。
中 椅子を寄付していただきました。
右 床用の長尺シートを購入しました。奥にあるのは寄付していただいたテーブルです。
電気工事・長尺シートは相生で調達した資金を使いました。
シートを敷いて、椅子とテーブルを置きますと、16畳20人収容のライブハウスになります。
インターネット用の光回線を入れますと、ライブ配信ができるようになります。
②札座を、東寺領矢野荘で日本史学びツーリズムを行う拠点として活用します。
若狭野陣屋の見学ガイド及び東寺領矢野荘の見学ガイドを行いました。写真C
写真C
左 お城ツアーで若狭野陣屋を見学に来られました。
右 クラファンのリターンで矢野荘の条里制を案内しました。
トークライブハウス札座 SATSUZA
トークライブハウス札座SATUZAです。9月15日に光回線が入り、9月下旬からライブ配信を開始します。詳しくは、トークライブハウス札座SATSUZAのページをご覧ください。
3月7日、Amazonから若狭野陣屋を紹介する電子書籍とペーパーバックを発行しました。ヘリテージマネージャーによる調査の結果など、若狭野陣屋の札座について最新の情報を盛り込んでいます。
お知らせ
- 2024/11/05 朝のミーティング
- 2024/04/24 書籍販売によるクラウドファンディング